ウェス・アンダーソン監督|ザ・ザ・コルダのフェニキア計画|現代美術の買取
映画|ザ・ザ・コルダのフェニキア計画アートとしての視点
【映画の概要や見どころ】
当欄は展覧会の紹介ページですが、今回はアートブックのような映画の紹介です。
映画館の大きなスクリーンを前にしながら、「これは図録や美術書のかたちで手元に置きたい」と思わせる作品に出会うことがあります。
ウェス・アンダーソン監督の最新作 『ザ・ザ・コルダのフェニキア計画』 はまさにそのような一本。左右対称の構図、鮮やかで繊細な色彩設計、そして細部まで作り込まれた美術・衣装・調度品が、映画全体を一冊のアート写真集のように仕立てています。
加えて、父と娘の再生という寓話的テーマが物語の核にあり、視覚的な美しさと人間的な温かさが交差する点も見逃せません。映像を愛する人だけでなく、デザインや美術を扱う私たち古書店にとっても、資料的価値を強く感じる映画といえるでしょう。
【あらすじと設定の描写】
1950年代、架空の国「フェニキア」。大富豪ザ・ザ・コルダは、6度の暗殺未遂を生き延び、国土全体のインフラ整備を掲げた「フェニキア計画」を推進していました。
しかし、妨害や資金難により構想は危機に直面します。そこで彼は、かつて疎遠となった修道院見習いの娘リーズルを後継者に指名し、フェニキア各地を巡る旅へと出発。道中で父と娘の絆、計画を巡る陰謀、そして家族再生の物語が交錯していきます。
出演陣も華やかで、ザ・ザ・コルダ役をベニチオ・デル・トロ、娘リーズル役をミア・スレアプレトン、家庭教師ビョルン役をマイケル・セラが演じます。さらにトム・ハンクス、スカーレット・ヨハンソン、ベネディクト・カンバーバッチら名優が脇を固め、ウェス作品ならではの豪華キャストが勢ぞろいしています。
【見どころ・注目すべきポイント】
1. アートとしての映像美と美術セット
本物の美術品や精緻な調度品を用いたセット、美しく構築された色彩と対称性の構図は、映像そのものをアートブックのように感じさせます。画面を一枚の絵画として堪能できるのが本作最大の魅力です。
2. 父娘の再生と寓話的物語
スパイ・コメディ的要素の裏に、父と娘の和解や家族の再生といった普遍的テーマが流れており、人間的な温かさが物語に厚みを与えています。寓話性のある展開が観客の心を静かに揺さぶります。
3. 豪華キャストと群像劇の妙
ベニチオ・デル・トロ、ミア・スレアプレトン、マイケル・セラに加え、トム・ハンクス、スカーレット・ヨハンソン、ベネディクト・カンバーバッチら名優が集結。多彩な人物像が絡み合うことで、群像劇的な奥行きと演劇的な楽しさが生まれています。
【まとめ】
『ザ・ザ・コルダのフェニキア計画』は、映画そのものがアートブックのように緻密に構築され、映像美と物語性が融合した注目作です。スクリーンを彩る美術・建築・衣装・調度の細部は、まさに現代美術やデザインの資料としても価値を持つものといえます。
セシルライブラリでは、こうした映画美術に通じる映像・写真・建築・デザインを含む現代美術全般の作品集や展覧会図録を幅広く取り扱っております。蔵書の整理やコレクションのご売却をお考えの方からの買取依頼も随時承っておりますので、ぜひお気軽にご相談ください。
ウェス・アンダーソンに関連する作品集や関連書籍
●「The Stanley Kubrick Archives」
著者名 :Alison Castle,Stanley Kubrick
出版社名:Taschen
発行年月:2008年
サイズ :544ページ 26×34×4.5cm
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ハードカバー
テキスト:英語
アメリカの映画監督、スタンリー・キューブリックのアーカイブ・ブックです。
1955年の「非情の罠/Killer's Kiss」からのスチール・フォトはじめ、写真資料などが、多数掲載されています。
ウェス・アンダーソンに関連する作品集や関連書籍
●「Kubrick」
著者名 :ミシェル・シマン
出版社名:白夜書房
発行年月:1989
サイズ :259ページ
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函入り、ハードカバー
ウェス・アンダーソンに関連する作品集や関連書籍
●「The Wes Anderson Collection」
著者名 :Matt Zoller Seitz,Michael Chabon
出版社名:Harry N. Abrams
発行年月:2013年
サイズ :336ページ 32×26×2.5cm
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ハードカバー
テキスト:英語
ウェス・アンダーソンの映画やアートワークを紹介する1冊です。
1992年の短編映画「Bottle Rocket」から、2012年のムーンライズ・キングダムまでの、映画のスチールやアートワークが、カラー&モノクロ図版で多数掲載されています。
ウェス・アンダーソンに関連する作品集や関連書籍
●「定本 映画術 ヒッチコック トリュフォー」
著者名 :フランソワ・トリュフォー
アルフレッド・ヒッチコック
出版社名:晶文社
発行年月:2017年 再版
サイズ :384ページ 26×19×3cm
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ハードカバー
幼年時代
警察ぎらい
映画との出会い
下宿人/最初の真のヒッチコック映画
恐喝/最初のトーキー映画
サスペンスとは何か
アメリカ映画の言語と文体
単純であること、明晰であること
チキン・パイとセックス
批評家を批評する
俳優は家畜だ
サルバドール・ダリとともに
ウェス・アンダーソンに関連する作品集や関連書籍
●「Jean-Luc Godard Sound-Image 1974-1991」
著者名 :Raymond Bellour,Mary Lea Bandy
出版社名:The Museum of Modern Art, New York
発行年月:1992年
サイズ :256ページ 31×24×2.2cm
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ハードカバー
テキスト:英語
フランスの映画監督、ジャン=リュック・ゴダールの1992年にニューヨーク近代美術館で開催された展覧会の図録です。
1974年から1991年までの映像作品が、カラー&モノクロ図版で多数掲載されています。
ウェス・アンダーソンに関連する作品集や関連書籍
●「ジャック・タチ映画の研究ノート」
著者名 :ミシェル シオン
出版社名:愛育社 --絶版
発行年月:2003年8月 初版
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ソフトカバー
ジャック・タチ映画の見方が変わる一冊。
ぼくたちの伯父さん ほか。
ウェス・アンダーソンに関連する作品集や関連書籍
●「TATI タチ 「ぼくの伯父さん」ジャック・タチの真実」
著者名 :マルク ドンデ
出版社名:国書刊行会
発行年月:2002年4月 初版
サイズ :334ページ 23×15×2.5cm
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ハードカバー
映画作家ジャック・タチは、生涯でわずか6本の映画しか撮らなかった孤高の存在でした。代表的な「ユロ伯父さん」をはじめとする作品群は一見飄々としていますが、その裏には極めて緻密な音響や映像の工夫が込められています。彼の革新的なコメディ映画は、喜劇の枠を超えて音楽、舞踏、美術、建築にまで影響を及ぼしました。また、ヌーベル・ヴァーグの作家たちにも大きな影響を与えた分類不能の天才として位置付けられています。本書は、遺族の協力による豊富な写真とともに、その真実の姿に迫る評伝です。
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ウェス・アンダーソンに関連する作品集や関連書籍
●「トリュフォーによるトリュフォー」
編集 :ドミニク・ラブールダン
出版社名:リブロポート
発行年月:1994年9月 初版
サイズ :230ページ 31×26×2cm
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ハードカバー
本書はフランソワ・トリュフォーの文章と発言、そして彼自身の人生と映画にかかわるさまざまなドキュメントだけで構成されたものである。